


<TASCLの7つの特徴>
①ほぼ均一な大きさの球状の細胞塊(スフェロイド)を一度に大量培養(三次元培養)できる(約3600個/約6000個)
②細胞の状態を長く良好に保つことができる・・・底面が貫通、ガスや培地が循環するため
③分化誘導ができる・・・1ヵ月間の長期培養ができるため
④トータルコストを削減できる・・・小さく高密度のウェル構造で器材や培地・試薬を節約
⑤開けてすぐに使える・・・タンパク質防付着処理済、滅菌済み、予め器材セット済み
⑥簡単に使える・・・播種は細胞懸濁液を上から播くだけ(遠心分離不要)、培地交換も容易
⑦観察が容易にできる・・・TASCLに載せたまま細胞の顕微鏡観察も可能



TASCLで細胞塊培養 TASCL上で細胞塊を蛍光検出
細胞塊(スフェロイド)大量培養(三次元培養)・分化誘導マイクロプレートTASCL
再生医療において、細胞を細胞塊(三次元スフェロイド)として用いることには
様々な有用性があります。

ところが、従来は細胞塊の大量培養は容易ではありませんでした。
細胞塊を培養する従来の方法としては、ハンギングドロップ法や細胞非接着性培養器材を用いる方法がありますが、方法が複雑、培地交換が難しい、細胞クラスターが不均質になる、などの問題があり、従来は均質サイズ・形状の細胞塊(スフェロイド)を大量に三次元培養することは困難でした。
また、細胞塊を培養するための様々なマイクロプレートや培養器材がありますが、細胞塊の形状・大きさがバラバラだったり、扱いにくかったりする問題があります。また、同じマイクロプレート上では分化誘導まで図ることができません。
この問題解決のために開発された細胞塊(スフェロイド)大量培養(三次元培養)・分化誘導マイクロプレートが、TASCLです。上から細胞を含む懸濁液を振りかけるだけで、ほぼ均質な大きさ・形状の細胞クラスターを1つで1000個または600個(6ウェルプレートでは6000個または3600個)程度を三次元培養・分化誘導することができます。


TASCLではほぼ均質な大きさの球状の細胞塊(スフェロイド)を一度に3600個~6000個ほど三次元培養することができます。
他のマイクロウェルと比較した実験でもこの点が証明されています。

TASCLでなぜ長期培養・分化誘導ができるのか?
TASCLはカルチャーインサートに載った状態でパッケージされています。
TASCLの底は穴が貫通しており、カルチャーインサート上で培養することで、
ガス・培地が拡散され、細胞クラスターの生存率が向上します。
そのため1ヵ月程度の長期培養をすることができ、分化誘導も図ることができます。

TASCLの仕様・価格
製 品 | TASCL 1000ウェル | TASCL 600ウェル |
型 番 | TASCL1000 | TASCL600 |
セット内容 | 6ウェルプレート1個 カルチャーインサート6個 TASCL1000ウェル6個 |
6ウェルプレート1個 カルチャーインサート6個 TASCL600ウェル6個 |
サイズ | 直径23.5㎜の円形 | 直径23.5㎜の円形 |
ウェル数 | 1020 | 621 |
ウェルのサイズ | ウェル上部 500μm×500μm ウェル底部 250μm×250μm ウェル高さ 500μm |
ウェル上部 650μm×650μm |
1ウェルあたりの 培養細胞個数の目安 |
500個~3000個 | 2,000個~10,000個 |
有効期限 (タンパク質付着防止剤の有効期限) |
出荷から12ヵ月 | 出荷から12カ月 |
滅菌 | 済み | 済み |
細胞塊移植治療の可能性
TASCLで培養・分化誘導した細胞塊を、
細胞塊移植治療やその研究に用いることが想定されます。
また、薬剤等の試験や、治療法の研究に用いることが想定されます。
・細胞塊移植治療としては、通常の細胞移植に比べてサイトカインや成長因子の
産生が多くなり、定着率が高くなると考えられます。
軟骨・半月板、皮膚、目・耳、脳脊髄神経、心臓、肝臓、膵島などの組織で
細胞塊移植治療の可能性があります。

・創薬・化粧品開発等における動物実験の代替としては、
薬剤試験では、細胞に比べて細胞塊の方がより生体に近い反応が得られます。
細胞塊は動物実験の代替策として有効です。
・腫瘍組織モデルとしては、腫瘍組織の三次元スフェロイドが
治療法の研究に用いられています。
TASCLに関するよくある質問(FAQ)
Q.培養した細胞塊(スフェロイド)の回収はどのようにすればよいですか?
A.ピペットで培養液ごと強めに吸い取っていただくか、またはピンセットでTASCLをカルチャーインサートからはがし、培養液で細胞塊を洗い流すようにして、培養液ごと回収します。
Q.TASCLはどのような種類の細胞の三次元培養に用いることができますか?
A.再生医療の研究で一般的に用いる細胞であれば、種類を問わず培養できます。一例として下記の細胞については実績があります。
・ hiPS細胞(複数株)
・ hiPS由来心筋細胞(正常、疾患)
・ HepG2細胞
・ MIN6細胞
・ ヒト由来幹細胞
・ ヒト膝軟骨細胞
・ マウスES細胞(複数株)
・ マウス初代肝細胞
・ マウス初代心筋細胞
Q.TASCL上の細胞塊を顕微鏡で観察できますか?
A.観察できます。
Q.TASCL上の細胞塊を蛍光染色はできますか?
A.蛍光染色できます。
Q.TASCL1000ウェルとTASCL600ウェルはどのような用途を想定していますか?
A.TASCL1000ウェルは、ウェルあたりの培養細胞数の目安は500個~3,000個で、再生医療の研究における各種細胞の三次元培養・分化誘導に用いることを想定しています。
TASCL600ウェルは、1ウェルあたりの培養細胞数の目安は2,000個~10,000個で、TASCL1000ウェルよりも大きな細胞塊が培養できるため、三次元スフェロイドやオルガノイドの形成に向いています。
Q.TASCLの滅菌はどのようにしていますか?
A.ガンマ線滅菌です。
Q.細胞混濁液の播種量の目安はどの程度ですか。また、播種時の注意事項はありますか。
A.細胞懸濁液の量は500uLを標準として、多少上下しても問題ありません。
その他注意事項としては、インサートの内側に細胞懸濁液(500uL)を播種した後、細胞が沈降するのを待ってから、インサートの外側(ウェル部分)に液面がTASCLの上面と同じくらいになる程度に培地を追加するということです。"
Q.細胞塊をTASCLからはがすときにうまく行える方法などありますでしょうか。 "A.次の方法があります。
a) 細胞塊がTASCL側に接着している場合
TASCLをピンセット等で把持して,インサートから剥がし,緩衝液などが入った6ウェルプレートや遠沈管の中で,ピペットの水流により落とします。
b) 細胞塊がインサート膜側に接着している場合
TASCLをピンセット等で把持して,インサートから剥がし,インサート表面に残っている細胞塊をスクレーパーなどで,こすり落とします。
Q.三日月形状の窪み部分は何に使いますか?また、細胞懸濁液を播種時にこの穴に細胞が入り、不純物となって、マイクロウェルに混入することはありませんか?
A.この窪みは、細胞懸濁液を滴下した後、培養液を追加注入したり、吸引したりするための窪みです。細胞懸濁液を滴下した後、培養液をマイクロウェルの上から注入・吸引すると、マイクロウェルから細胞が出てしまう恐れがありますので、この窪みで培養液の量を調整します。
この窪みとマイクロウェルの間は壁で仕切られているため、窪みに不純物が残ったとしても、マイクロウェル側に流れることはありません。
Q.細胞塊は上段のカルチャーインサートのメンブレン(浸透膜)上にありますが、細胞塊から出たタンパク質や酵素などは下段まで通過しますか?
A.タンパク質分子のサイズは~10nm程度、酵素のサイズは~20nm程度ですので、カルチャーインサート(PETメンブレンのポアサイズ 3.0μm)を通過します。
Q.細胞塊がカルチャーインサートのメンブレン上にできますが、細胞塊にならなかった細胞はどうなりますか?
A.細胞塊形成が上手く行っていれば、細胞塊にならなかった周りの小さな細胞の数は、細胞塊を構成する細胞数に対して、数%になると思います。一般的な実験であれば無視できるレベルです。それが無視できないレベルの、微小な差を検出する実験系の場合は、細胞塊形成後に、別容器に取り出して解析していただければと存じます。
Q.培養開始し、細胞塊は作製できました。蛍光染色をしたいのですが、どのような手順で染色すればよいでしょうか。
A.TASCL上での各種染色をする際の注意点は、常に試薬がカルチャーインサートの上から下(表から裏)に流れるように操作することです。一つの簡易的な方法は,TASCL/カルチャーインサートをウェルプレートから取り出し、滅菌したドレープなどの上においてTASCL内の液体を目的の試薬と置換していくことです。液面が常に,TASCLの上面を超えない程度に、滴下速度を調整します。固定や染色等、試薬を入れたまま待ち時間が必要な場合は、カルチャーインサートをドレープから離して、宙に浮いた状態にしておけば、表面張力で液体は保持されます。
量子ドット、あるいはその他のライブイメージング用蛍光試薬を播種前、あるいはEB培養中の培地に添加しておくのも良いです。
2次元培養で使用している免染や特殊染色をTASCL上で行うことも可能です。
なお、細胞塊を球体のまま染めても、定量的染色はできません。染まり具合の比較など、定量的議論が必要な際は、やはり固定して切片にしてから染色すべきです。その際には、細胞塊包埋用ゲルを用いると便利です。
Q.TASCLの構成・サイズを教えて下さい。ウェルのサイズも教えて下さい。
A.次の通りです。
①正規品:TASCL 600ウェル
6ウェルプレート1個に、TASCL6個、カルチャーインサート6個。
ウェル:上部650μm×650μm。底部400μm×400μm。高さ:500μm。1,020ウェル。おおよそ200μmくらいの細胞塊が培養できる。
②正規品:TASCL 1,000ウェル
6ウェルプレート1個に、TASCL6個、カルチャーインサート6個。
ウェル:上部500μ,×500μm。底部250μm×250μm。高さ500μm。621ウェル。
おおよそ250μmくらいの細胞塊が培養できる。
③試供品
カルチャーインサートの上にTASCLを載せ、
親水化処理と滅菌をしたもの。
TASCL 600ウェルとTASCL 1,000ウェルの2種類がある。
Q.TASCLの購入方法(最低購入数も)・支払い方法を教えて下さい。
A.TASCLを購入されたい時には、弊社お問合せ先へご連絡ください。
最低購入数は、600ウェル、1,000ウェル共に1ケース(6穴・6カルチャーインサート・TASCL/1ケース)からです。
お支払い方法は、担当の販売代理店様、あるいは、弊社よりお知らせいたします。"
TASCLを注文しましたら、どのくらいで手元に届きますか。 販売代理店様へ注文される場合は、当該販売代理店様へご確認ください。弊社へ注文される場合は、在庫がございましたら数日以内にお手元に届くよう発送いたします。在庫が不足する場合は、改めてご連絡を差し上げます。
Q.TASCL試供品とTASCL正規品(商品)との違いを教えてください
A.材質に違いはございませんが、正規品(商品)は6穴プレートにカルチャーインサートとTASCLが6つずつセットされています。
Q.TASCL試供品の入手方法を教えて下さい。
A.販売代理店担当者様、あるいは、弊社HPお問い合わせ先までご連絡ください。
Q.TASCLの有効期限と根拠を教えて下さい。TASCLサンプルの有効期限、根拠も同一でしょうか。
A.TASCLの有効期限は、製造日から起算して1年間です。
Q.他社の細胞培養マイクロプレートや三次元培養用器材と比較して、TASCLのメリットを教えてください。
A.TASCLは、マイクロウェルの底部が貫通していることから、
1) 細胞懸濁液を上から滴下するだけで、大きさ・形状・品質が均一な細胞塊を一度に「~103個培養できます。細胞懸濁液に遠心分離は不要です。
(⇒例えば、ハンギングドロップ法の場合は、技術者の熟練の技が必要だが、TASCLの場合は、上から滴下するだけのため、細胞培養初心者でも、大きさ・形状・品質が均一な細胞塊を培養することが出来る。)
2) TASCLの底面が多孔質のため、ガスや培地が循環します。そのため、1ヶ月以上の長期培養ができ、分化誘導も可能です。
3) 任意の培養器材と組み合わせて使用できます。
4) ウェルの深さが、細胞塊の直径以上に深いため、培養液交換の際の細胞化のロスがほとんど発生しません(細胞塊の流出が防止されます。)。
5) 培地や試薬のコスト削減に繋がります。
6) 開封してすぐに使用できます。
7) TASCLを載せたまま、細胞を顕微鏡観察できます。
Q.TASCLで培養した細胞塊を、人に投与してもよいでしょうか。
A.現状、TASCL(サンプル含む)は、試験研究用として販売しております。TASCLで培養した細胞塊を人に投与することに関して、弊社は保証するものではありません。